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ドーナツとドーナツの穴 第64回 『この世界は残酷だ そしてとても美しい』

『ドーナツ』≒意識しているもの、表、機会、建前、見えているもの、認識しているもの…。

『ドーナツの穴』≒意識していないもの、裏、機会損失、ホンネ、見えていないもの、認識していないもの…。

そんな意味合いで捉えてもらえればと思います。実際書きたいことを書いているので、テーマ通りには毎回いかないですが、そこはご容赦を…。


 第64回は『この世界は残酷だ そしてとても美しい』


 ネット界隈や漫画ファンの間では、おそらくあまりにもメジャーな、

『この世界は残酷だ そしてとても美しい』

というセリフ。「進撃の巨人」単行本2巻に登場する。たかが漫画と侮るなかれ。今週のネットニュースでは、

『累計1億部突破』

と書かれていた。そう、それだけ世間に流布しているものを、もし全く知らない…、ならばそれはそれでちょっと微妙だとは個人的には思う。漫画だからと馬鹿にする必要もないし、知らないからといって馬鹿にする必要もない。ただ累計1億部以上売れている事実は知っておいてもいいのかも知れない…

……

 さて、このセリフ、ネットで検索するとそれこそ相当数ヒットする。それだけ取り上げている人がいるということだ。「進撃の巨人」を紹介したいわけではないので、詳細は避けるが、基本的に、

「主人公、ヒロインが命の危機にある時、過去の思い出とともに想起する言葉」

『この世界は残酷だ そしてとても美しい』である。※若干のニュアンスや表現が違う場合も多い。


 このセリフ、接続詞の「そして」がポイントだと個人的には思っている。

「この世界は残酷だ だからとても美しい」×順接
「この世界は残酷だ だけどとても美しい」×逆接
「この世界は残酷だ またとても美しい」×並立(並列)
「この世界は残酷だ 何故ならとても美しい」×説明・補足
「この世界は残酷だ もしくはとても美しい」×対比・選択
「この世界は残酷だ ときにとても美しい」×転換


ではなく、

『この世界は残酷だ そしてとても美しい』◎累加(添加)

※参考:国語の文法 活用の無い自立語 接続詞の例
https://www.kokugobunpou.com/

だから心を打つ名言になったのだと個人的には思う。世界が残酷であることと、美しいことは事実である。ただしそこに連続性はない。「残酷さ」と「美しさ」は同時に存在しているのに離散している。そこがポイントである。自然は人間に対し恩恵を与えるとともに、無慈悲である。人間がどうしようもないものだから、

「残酷でもあり、美しい」

となる。その自然の象徴の一つが漫画では「巨人」となっているのだが、実際人が作ったものでも、人間が制御できなくなっているものはもはや「自然」だといえる。原子力などがその例である。

『何かに人間が手を加えることは不自然なのに、その何かが人間の手に余ると自然に戻る』

というのが、シニカルなことだと思う。漫画で描かれている目の前の巨人も、元は人間なのだ。

……


 そろそろ話を着地させよう。自分ではどうしようもないものだからこそ、世界は残酷で美しい。その世界の中で何らかの関係、連続性を感じられる何かがあるならば大事にした方がいい。ただし、それは自分で選んだものである。

「関係があると自分が決めたものにだけ、関係がある」

と言える。関係が先にあるのではない。そこを間違えてはいけないと思う。

「相手が関係性があると思っているから、自分も関係がある」

ではない。そもそも自分と世界の境界ですら、自分で決めているのだ。世界がその形をとる必然性は全くない。誰かが、もっと正確に書けば、

「自分が選んだ世界の形」

がそこにあるだけなのだ。自分で選択しないという選択も含めて……。※着地失敗か!!


「ドーナツ」= 『この世界は残酷だ そしてとても美しい』

「ドーナツの穴」= 『この世界は残酷だ そしてとても美しい』と思う世界の形も自分が選択している



今日はここまで。文責 江口
20230111.bmp
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