豊中 訪問看護は「あったかリハビリ」へ

訪問看護ターミナルの関わりB役割分担と覚悟

こんにちは宮川です。

前回のお話Aまずは3週間 の続きです。
(末期がんのお父さん=Aさんは入院したくありません。しかし、お母さんが自宅で介護するのは大変だと心配する娘さんと、介護していけるだろうと漠然と思っているお母さんに、『まずは3週間 自宅で介護してみましょう』と話をしました)

自宅介護でお母さん=妻が主に担当する事は、食事・服薬介助・オムツ交換・口腔ケア。

訪問看護師は、膀胱留置カテーテル管理(週一回の交換や洗浄など)・全身清拭・排便コントロール・体調チェック。まずは週2回から開始。

この予定で開始してまずは数日後、どれぐらい妻は疲労を感じているのか?何か問題は無いか?をチェックすると・・・
介護者からの訴え=一番の問題は、お父さん=本人が食べない・飲まない。
二番目は、夜になってお母さんの姿が見えなくなると「おーい!」と呼ぶ事でした。

一番の問題に関しては、もともと食が細いこともあり、また食欲低下は自然な事だと受け止めるようにしました。
二番目の問題に関しては、夜寝る前や買い物に出かける前など、本人のそばから離れる時は必ず『声をかける』=『今から私も寝ますからね・今から30分ほど買い物に出かけますのでいません。』など。これは効果がありました。

そして3週間が経過。
自宅介護を始める前に心配していた、『自宅介護はお母さん=妻の負担が大きく、しんどいだろう』という問題は、あまり出てきませんでした。そして、心配していた娘さんも、このまま自宅で看て行けるだろうという気持ちになりました。

自宅介護を始めてから約10週間後、お孫さんを含め家族皆が見守る中、自宅で息を引き取られました。


今回の例 Aさんは、苦痛の訴えが少なく介護負担も軽かった。だから自宅で最期まで介護することができたんだ。と、思う人もいるかもしれません。しかし 多かれ少なかれ介護負担はどんな状態でもあります。
もし今回のAさんが上手く自宅看取りできたと評価するなら、その要因は家族の死への覚悟の内容が良かったからかと思います。
・本人の希望である自宅で過ごすという事が可能であればそうするし、無理なら病院でみてもらおう。
・人はいつまでも生きることは出来ないから。
・できる事はしてあげよう。
お母さん=妻のこのシンプルな考えが、自宅看取りを可能にし、私達看護師もサポートする事ができたと思っています。